落とし穴

一つの例:要素編

この落とし穴の典型が要素の選び方で答が違うことです。
次の図は妥当な解です。(変位量は合っています)


これを自動メッシュで切ると、次のようなメッシュになることがあります。
(ざっくり四面体で切りました。という表現です)


通常四面体要素は精度が悪いことは知られているので、さすがにこれを六面体で切り直します


六面体でも適切な要素と不適切な要素があり、適切な要素を選べば最初のようにきちんとした答になりますが、間違った要素を選ぶと、この図のように不適切な答が出ます。
構造解析では要素選択に十分注意することが必要です。
なお、これらの出力も自動出力にすると、同じ変形が出て、数値だけが違うことになります。
もっと見つけにくい落とし穴になってしまいます。

もう一つの例:境界条件 (フック)

下のように壁にフックがねじ止めされていて、先端に荷重がかかっている問題があるとします。この時、この問題を構造解析するには、どんな点を考慮する必要がありますか?
(この考慮すべき点がすべて落とし穴になります。気づかないとおかしな解析をしてしまいます)


少なくとも、以下のような項目が考慮すべき項目となります

  1. 壁の剛性
  2. ねじの予張力
  3. 荷重の大きさ
  4. 荷重のかけ方
  5. 荷重のかかる回数
  6. フックの形状
  7. フックをモデル化する要素
  8. 要素の大きさ
  9. フックの壊れる値
  10. フックに許される変形量
  11. フックに許される応力
  12. ねじの剛性
  13. ねじの引き抜き強度
  14. 壁との接触状態
  15. フィレットの半径
  16. 壁の材質
  17. フックの材質
  18. ねじの材質
  19. そもそもどう壊れるか
  20. 変形の状態

 

どうですか? すべて気づきましたか?
問題によっては、気づいても 「これは影響無い」 という理由で考えなくても良い項目もあります。しかし、理由を持って考えないのと、思いつかないのでは、結果は同じでも、全く意味が違います。
この辺りが構造解析の難しいところです。